瓦今昔物語

淡路瓦

瓦が日本に伝来したのは、今から約1400ほど前のこと。淡路島の瓦づくりは、その後しばらくしてから始まりました。

淡路島で瓦が作られた理由は、土にあります。島内から採掘される良質の原土が、淡路島の伝統と技術を培ってきたのです。また、淡路島のある兵庫県南部は、山陽道などが通る交通の要衝であり、瀬戸内海を使った海運の発達により、都をはじめ日本各地に淡路瓦が運ばれたことは用意に想像できます。日本の歴史のなかでも多くの足跡を残してきたことでしょう。

現在、建築等で使われている瓦のほとんどは、愛知県三河の三州瓦、淡路島を中心とした淡路瓦、そして島根県の石州瓦の三大産地でつくられています。私たちが目にする日本瓦は、大きく分けて燻化してつくるいぶし瓦と、釉薬を使った陶器瓦に分類され、淡路瓦と三州瓦が主にいぶし瓦を生産。そのなかで淡路島は、いぶし瓦の生産量で全国一を誇っています。

表面に炭素膜を形成させる独特の製法から生まれるこのいぶし瓦は、銀色に淡く輝く色艶、しっとりとした風格から根強い支持があり、なかでも色艶と色もちで群を抜いている淡路のいぶし瓦は、まさに日本瓦の代名詞といっても過言ではないでしょう。

(緑窯業株式会社カタログより抜粋)